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文章には、日常生活では使わないような難しい言葉がたくさん出てきます。

学年が上がるにつれて知るべき語彙数は増え、特に抽象的な語句の知識があるかどうかが、

文章の理解度を大きく左右します。

試みに、小学5年生の教科書を開いて、目についた一節を取り上げてみます。

 

  インスタント食品は、加工されていない食品に比べて、長い間保ぞんできます。

  この点は、非常時の食りょうとして使えるという良さにもなります。

  (大塚滋「インスタント食品とわたしたちの生活」 平成二十二年度版東京書籍 『新しい国語五下』)

 

多くの大人はこの文章を、何の疑問も持たずに読んで理解することができるはずです。

しかし、読解が苦手な子の場合、読むのにつっかえたり、十分に理解ができなかったりすることがあります。

なぜでしょうか。

人が文章の意味をとれない理由は千差万別ですが、

この文章の場合、たとえば「加工」や「保存」や「非常時」という概念になじみがなければ、

当然、文章全体の意味は曖昧なものになってしまいます。

これらの言葉は大人から見れば易しいものですが、子どもが日常生活でよく使う言葉ではないはずです。

したがって、熟語、文章語に触れる機会が少なく、語彙力の乏しい子にとっては、なじみない言葉に見え、

たった二文であっても読むのに大きなストレスを感じることになってしまいます。

また、災害に備えて保存食を用意するという話を家庭や学校で一度でも聞いたことのある子とない子では、

当然、文章の意味のとりやすさに大きな差が生じてしまいます。

これは語句の知識というよりも、「保存食」という概念をめぐる、いわば常識知であり、

読解にはこうした言葉の文字通りの意味以外の要素も関係してきます。

 

同様に、今度は手元にある大学受験の過去問から、これもぱっと見て目についた一節を取り上げてみます。

 

   合理的な個人という近代的自我像への批判のいわば集大成を、ポストモダニズムの中に見出すこと

   もできるだろう。我々が文化や環境に依存し決定される「客体」であるとするなら、我々の「主体」性を

   前提にしてきた近代の社会システムは根底から問い直されるべきだということだ。

    (大屋雄裕『自由とは何か』 青山大学法学部2009年)

 

この文章を理解するためには、「合理」や「自我」や「主体」や「客体」といった抽象的な語句の知識が最低限必要になります。

そしてさらによく理解するためには、近代社会において「個人」とはどのような概念であり、

歴史的にどう論じられてきたかという知識や、「ポストモダニズム」とはどのような思潮で、

どのような歴史的、思想的背景から誕生したかという知識が求められます。

つまり、抽象的な語句の字義的な知識とともに、学術的、専門的な用語をめぐる幅広い知識という、

概念に関する二種類の知識を身につけておくことが、正確な理解のためには望ましいのです。

 

ここまで見てきた通り、小学生の場合でも、高校生の場合でも、読解に必要な知識の本質は同じです。

文章を正しく理解するためには、その文章で用いられている概念を正しく知っておく必要があります。

概念の知識には二種類あります。

一つは、語句が持つ文字通りの意味。辞書的な意味です。

もう一つは、ある語句について現代の社会でおおむねどのようなことが言われているか、

その語句がどのような文脈で用いられることが多いかという知識です。

語句の抽象度や専門度に応じて、それは一般常識とも呼べる場合もありますし、

教養とも呼ばれるでしょうし、専門知となる場合もあります。

いずれにせよ、概念をめぐる豊富な知識がなければ、文章を正しく理解して読むことはできません。

外国語を学ぶときに単語の知識の必要性を疑う人は誰もいません。

しかし国語の学習となると、「漢字を覚えろ」と言われることは多くても、

あわせて抽象的な語句の知識を増やしていく必要があるのだということは、あまり意識されません。

大きな誤りです。

たとえ母国語であろうと、文章を正しく理解するためには、

文章に特有な抽象的な語句の知識を豊富に蓄えておく必要があります。

もちろん、日常的な読書や、生活の中での様々な言語体験を通じて、

自然と語句の知識を身につけている子もいます。

しかし、そのような経験が不足している場合、

あるいは日常的な言語体験が語句の知識の習得にまでいたっていない場合は、

外国語同様、意識的に日本語の様々な概念を学習しなければなりません。

漢字の勉強のついでに、抽象的な熟語の知識をなるべく多く身につけてください。

様々なジャンルの文章を読み進めることで、

幅広い知識を手に入れ、なじみある語彙を増やしていきましょう。

多くの文章を書く中で、新たに得た知識や言葉を進んで用いて、

抽象的な概念を自分のものにしてください。

文章を読むことで、また文章を書くことで、抽象的概念になじみ、

概念を自分自身の思考の素材として蓄積していくことが、

読解力のみならず思考力や思考力を高め、豊かな国語力を育みます。

 



投稿者: フィロソフィア国語教室 カテゴリー: タグ: 投稿日時: 2014年9月6日 13時10分